南流山教室
夏の思い出(後編)
2008年8月2日
南流山教室は夏期講習の真っ最中ですが、とりあえず前回の続き…。
さて、さっそく、おばちゃんが泊まる部屋を教えるからついて来るように言ってきた。勿論、完璧には聞き取れていないが、多分、そう言ったのだと思う。部屋は四階。各階にキーマスターが住んでいるらしく、まずは四階のキーマスターのお部屋にお邪魔した。そこには、小さな女の子と、その母親がおり、二人でイスに座って、テレビを見ていた。ぽりぽりと、母親はひまわりの種を食べながら、娘に向かって、鍵を開けて来るように命じた。
「ん?」
当然、鍵をくれるものだと思っていたのだが、その女の子は、部屋の鍵を開けるとすぐに部屋に戻って、テレビに夢中。という事は、鍵を開ける際は、常に鍵を開けてもらうように頼まなくてはならないという事になる。しかも、中国のドアは全部、オートロックである。(勿論、オートと言っても機械仕掛けではありません)
多分、鍵偽造を防止するためだとは思うが、トイレもシャワーも、部屋の外。という事は…。
「そんなのヤダー。」
という事で、ドアの間に何かを引っ掛けて、オートロックを防いで、貴重品を持ちながらトイレとシャワーに行く事にした。
それはそうと、案内してくれたおばちゃんが、帰る素振りを見せたので、ここまでやってくれたお礼をしなければと思い、「お礼したいから。ちょっと待って下さい」と言い、かばんに何かないかと漁っていると、おばちゃんは(多分)「そんなの、いらないわよ」と言って、階段を降りて行ってしまった。後で思えば、日本じゃないんだから、普通にお礼にお金をあげれば良かったと思った。かなり心残りな出来事として、今でも胸に突き刺さっている。
さて、疲れたから、ベッドで一休みしようかと思ったら、下から宿屋のおじさんが上がってきて、
「メシ食うぞ」
えっ?今じゃないと駄目なんですか?
そう思いながらも、おじさんが煽てるので、しょうがなくついて行くと、隣に食堂(とは言っても、殺風景な空間にイスと丸いテーブルが置いてあるだけです)があるようで、そこに連れてかれた。中では、食堂の一族が全員、整列して待っていた。どうやら、外人が来たという事で、みんな物珍しがって来た様だ。そして、お前から、しゃべりかけろよ。みたいな事が始まった。
そんな事をされても、こちらとしては困るので、とりあえず、メニューをもらう事にした。すると、中国語が話せるのが分かった瞬間、みな急に、話しかけてきた。どうやら、宿屋のおじさんは、自分が中国語を話せるのを内緒にして楽しんでいたようだった。とは言え、みんな、やはり訛りが強く、何を言ってるのかが、片言程度にしか分からない。それが分かると、みなの顔に失望の顔が浮かんだ。
なぜか、自分が申し訳ない気分になり始めた。期待を裏切ってごめん。そんな気持ちである。その時、食堂の一族の中の若い男が、二人の子供を連れて来た。一人は男の子で、小学校1年生だという。もう一人は女の子で、小学校3年生と言っていた。どうやら、「あれが外国人だよ。よーく見ておきな。」みたいな感覚で、話している様子だった。そのうち、「ちょっと話して来いよ」的な雰囲気になり、女の子の方は、「恥ずかしいからヤダ」と首を振ってお父さんらしき人の足にしがみ付いていた。男の子の方は、「ちょっと話してくる」という感覚で、こちらに来て話してきた。そして、その時、衝撃が走った。
こ、この少年の言っている事が分かる。
そうなのである。ちょうど小学校1年生で、しっかりした中国語を習っている所なので、共通語がしゃべれるのであった。この瞬間、この町における、自分の専属通訳が決定した。そして、同時に、この町の人の言葉が正確に分かるようになった。本当に、子供って素晴らしいですね。この少年のお陰で、この町では不自由なく過ごす事ができた。この後、この少年と、いろいろと冒険をする事になるのだが、それはまた今度。
えっ?ほとんど少年が出てきてないって?申し訳ない。枕が長すぎました。もし、リクエストがれば、また書きたいと思います。
さて、話は一気に変わり、最近は短歌が盛り上がってきています。高梨先生は食べ物の短歌ばっかり。という文句はさて置き、今回からは、教室対抗戦でもあります。南流山教室が勝利するためにも、みな様方のお力が必要になります。是非、短歌をどんどん書いて応募して下さい。よろしくお願いします。